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la Strega真実は叫ばない⑫ レモンの守り人・第二次世界大戦マリアの想い想像

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7月29日
読了時間: 11分

更新日:8月2日

歴史を語る夜


ローマの夜。


三つ星レストラン La Strega の窓から、


ライトアップされた石畳が静かに見えていた。


厨房ではヴィオラがゆっくりと別のお客様の注文料理、


仔牛のサルティンボッカを焼き上げ、


ウエイトレスは焼きたてのパンを客席へ運んでいる。




La Stregaの特別個室では、


エレナの祖母の🎵マリア、🎵アレッシオ、🎵エレナ 三人集まった。



ヴィオラが先日仕入れた、ムラーノのグラスで🥂。



🎵フリウリ産の オレンジワインで乾杯した。


マリアは


「今日は あなた方に話しておかなくてはならない


大切な話、レモンの守り人の話と


第二次世界大戦について話すわ。」


アレッシオとエレナが頷く。


「第二次世界大戦は、1939年9月1日、


ドイツがポーランドへ侵攻したことで始まったわ。


これに対し、イギリスとフランスが


ドイツへ宣戦布告し、ヨーロッパ全体を巻き込む戦争へ発展した。」



マリアは静かに続けた。


「その頃、日本はすでに中国との戦争を続けていた。


一方で、イタリアは1940年6月にドイツ側として参戦した。」



🎵前菜の真鯛のカルパッチョが運ばれてくる。


フェンネルとシチリアレモンの香りが店内に広がった。


Millefiori模様のムラーノ ガラスのお皿
Millefiori模様のムラーノ ガラスのお皿

アレッシオはキャビアをのせた。
アレッシオはキャビアをのせた。






マリアは料理を眺めながら話す。


「1940年9月、日本、ドイツ、イタリアは三国同盟を結んだ。


これは、どこか一国が新たな国から攻撃を受けた場合


互いに協力するという軍事同盟だったの。」


「しかし実際には、それぞれが別々の戦場で戦っていたね。」


アレッシオがつぶやく。



マリア、、「そう。ドイツはヨーロッパ、


イタリアは地中海や北アフリカ、日本は中国や太平洋。


目的も戦場も違っていたため、


連合国のような統一司令部はなかった。」



ヴィオラが厨房では


次の料理、


🎵ポルチーニ茸のタリアテッレを仕上げる。


エレナはフォークを持ちながら続けた。


「1941年、日本は真珠湾を攻撃し、アメリカが参戦した。


これで戦争は本当の世界大戦になった。」


「そう、、」アレッシオは静かに頷いた。


マリアが続ける、大切に保管していたノートをみながら・・・


「しかし戦局は少しずつ変わるの。


1943年7月25日にはイタリアでベニート・ムッソリーニ政権が倒れ、


国王ヴィット―リオ・エマヌエーレ3世によって解任。


国王はムッソリーニを逮捕させ、人里離れた山岳リゾート地へと連行させたわ。


1943年9月3日イタリア政府は連合国との休戦(降伏)に署名したの。


同年9月8日、イタリア政府は連合国との休戦を発表した。


多くのイタリア国民は『これで戦争が終わる』と思った。


でも


1943年9月12日、アドロフヒトラーの命令により、


ドイツ軍特殊部隊が、ムッソリーニを救出(グランサッソ襲撃)、


北部や中部では、ドイツ軍が重要な都市や鉄道を押さえ


ドイツ側は、彼を解放してドイツへ連れ出すという大胆な作戦を敢行したの。


イタリア南部が「解放」される一方で、


ヒトラーはイタリア北部にファシスト共和国を


樹立するのを支援し始めたのよ、


🎼つまりイタリア人は、連合国側に寝返った国王につくか、


それとも枢軸国側にとどまるか、決断を迫られたわけです。


それは凄惨な内戦でした。 🎼



北イタリアにドイツの支援を受けた


同年9月23日、新しい政権――


ムッソリーニはドイツの支援で北イタリアにイタリア社会共和国を作った・・



マリアは続けた。


「一方、南イタリアでは、国王と新しいイタリア政府が連合国側につき、


ドイツ軍と戦うようになった。」



アレッシオは静かに言う。


「つまり、イタリアは一つの国でありながら、


北はドイツ側、南は連合国側という状態になったんだ。」


マリアが「そう。イタリア人同士が敵味方に分かれて戦うという、


とても苦しい時代だった。イタリアでは、この時代を語るとき、


『外国との戦争』だけでなく、


『同じ国民同士が争わなければならなかった悲劇』も忘れてはいけないと


言われる理由がそこにある。」


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ポルチーニ茸のタリアテッレをいただきながら、マリアは想像の世界に・・。ムッソリーニとヒトラー。二人はどんな会話をしていたのだろう・・・
ポルチーニ茸のタリアテッレをいただきながら、マリアは想像の世界に・・。ムッソリーニとヒトラー。二人はどんな会話をしていたのだろう・・・




 自分だけの世界にはいるマリア・・


歴史の人物、二人の会話・・・




1943年9月、イタリア降伏直後。ドイツ総統司令部。


部屋には重い沈黙が流れていた。


ヒトラーは机の上の地図を見つめている。


その前には、救出されたばかりのムッソリーニが立っていた。


ヒトラーが口を開く。


「イタリアは休戦を宣言した。君はこのまま国を失うつもりか。」


ムッソリーニは疲れ切った表情で答えた。


「私は国民を裏切るつもりはなかった。


しかし、長い戦争で人々は疲弊してしまった。


私の声は、もう以前のようには届かない。」


ヒトラーは静かに言う。


「それでも北イタリアには、まだ戦える者がいる。君には再び立ってもらう。」


ムッソリーニは地図に目を落とした。


「ドイツ軍がいなければ、新しい政府は一日も持たないだろう。」


「それでも構わない。」


ヒトラーは強い口調で続ける。


「アルプスへの道も、工場も、補給路も、ドイツには北イタリアが必要なのだ。」


ムッソリーニは小さく息をついた。


「私が立てば、イタリア人同士が戦うことになる。」


部屋に静寂が戻る。


ヒトラーは少し考えてから答えた。


「歴史は勝者が書く。まずは勝たねばならない。」


ムッソリーニは首を横に振る。


「いや……。歴史は勝者だけでは書けない。


敗れた者の家族も、その時代を生き続ける。」


ヒトラーは窓の外を見た。


「戦争とは、そういうものだ。」


ムッソリーニはゆっくりと椅子に腰を下ろした。


「私はかつて、イタリアを強くすると信じていた。


しかし今、町は爆撃され、若者たちは倒れ、


同じイタリア人が互いに銃を向けようとしている。」


ヒトラーは答えなかった。


しばらくして、静かに地図をたたむ。


「北イタリアに新しい政府をつくる。」


ムッソリーニは長い沈黙の末、静かに言った。


「それが祖国を救う道なのか、それとも傷をさらに深くする道なのか……。


🎼今の私には分からない。」


再び沈黙が流れた。


その後、北イタリアにはドイツの支援を受けた新政権が置かれ、


一方で各地ではレジスタンスが活動を活発化させ、


イタリア国内の戦いはさらに激しくなっていくことになる。



マリアはヒットラーとムッソリーニがこんな会話をしているのではと


お料理を味わいながら、、想像した。



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エレナにもお料理が運ばれた。


エレナのポルチーニ茸のタリアテッレ
エレナのポルチーニ茸のタリアテッレ

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アレッシオのポルチーニ茸のタリアテッレは、


リチャード・ジノリかしらっと思わせるお皿で運ばれてきました。




パルミジャーノをたっぷり雪のように
パルミジャーノをたっぷり雪のように




アレッシオはパルミジャーノをたっぷりかけながら続ける。



「さらに、多くの市民や元兵士たちは🎼パルチザン(レジスタンス)🎼として


立ち上がり、山岳地帯や町でドイツ軍やムッソリーニ政権に対する抵抗運動を始めた。」


「だから、この時期のイタリアでは、外国軍同士の戦いだけではなく、


イタリア人同士が敵味方に分かれて戦う内戦の側面もあった。」


エレナは少し表情を曇らせた。


「家族や友人が、それぞれ違う立場に立つこともあった。


戦争が終わっても、その傷は簡単には癒えなかった。」



マリアはレモンの陶器を見つめる。



「1945年春、連合国軍とレジスタンスの攻勢によって


北イタリアは解放され、


4月28日、ムッソリーニはレジスタンス(イタリア抵抗運動パルチザン)


に拘束され処刑された。


そして5月、ドイツが降伏し、イタリアの戦いも終わった。」



マリアはつづける、


「詳しく話すと、ムッソリーニの処刑の二日後、


1945年4月30日、ヒトラーはベルリンの総統地下壕で


妻のエヴァ・ブラウンとともに


命を絶ったの。


同年5月8日、ドイツが無条件降伏しヨーロッパの戦争が終結。」





🎵テーブルには、焼きたてのパンとオリーブオイルが運ばれてきた。




エレナは静かにワイングラスを持ち上げた。


三人で静かに🥂した。





🎵メイン料理の仔牛のサルティンボッカが運ばれてくる。


子牛のサルティンボッカの横には、ソレンティーノ(Sorrento)のお皿にパンも。
子牛のサルティンボッカの横には、ソレンティーノ(Sorrento)のお皿にパンも。



店内にはワインの香りが漂う。


マリアはゆっくりと言った。


「日本のことも話すわね・・・・


1945年5月、ベルリンが陥落し、ドイツは無条件降伏した


マリアは静かに続ける。


「日本では同じ年の8月、広島と長崎への原子爆弾投下、


そしてソ連の対日参戦などを経て、


8月15日に終戦を迎え、9月2日に降伏文書へ調印した。」



しばらくアレッシオとエレナの二人は黙っていた。


付け合わせにバターでソテーしたローマ風アーティチョーク
付け合わせにバターでソテーしたローマ風アーティチョーク



🎵デザートのティラミスとエスプレッソが運ばれる。




マリアは静かに語る。


「敗戦後、日本、イタリア、ドイツは、


それぞれ大きく国の姿を変えたの。」


マリアは指を折りながら話す。


「日本は連合国軍の占領下で新しい憲法が制定され、


民主主義国家として歩み始めた。


イタリアでは1946年、国民投票によって王政が廃止され


共和国となった。


そしてドイツは東西に分割され、西ドイツと東ドイツに分かれた。


その後、1990年に再統一され、現在のドイツになった。」


ルカは白ワインを見つめながら微笑んだ。


「三国とも敗戦という大きな痛みを経験した。


しかし、その後は経済や文化を発展させ、互いに友好関係を築いている。」


三人は静かにグラスを掲げる。




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ところで、、、ヒトラーの自●の原因は?


デザートをいただきながら、エレナはマリアに尋ねた。








マリアが答える、


ヒトラーが自殺した直接の理由は、イタリア侵攻そのものではないわ。


🎼①イタリアの戦況悪化 で、ドイツ全体の軍事力を弱めた重要な要因。


イタリア戦線は、ドイツにとって兵力や物資を分散させる大きな負担だった



🎼②ベルリン包囲 により、ヒトラーが自●を決意した直接の状況。



1945年4月になると、状況は極めて厳しくなっていて、

東からは

「ソ連軍がベルリンへ突入」

西からは

「アメリカ軍、イギリス軍などの連合国軍がドイツ国内へ進撃」


ドイツ軍は各戦線で後退し、首都ベルリンは包囲されました。



大きくわけるとこの二つの要因だと考えられているの。


🎼③ 三つ目は1945年4月には、ムッソリーニがレジスタンスに捕らえられ処刑され、


その遺体がミラノで公開、この出来事はヒトラーにも大きな衝撃を与えたと


考えられているのよ。



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「歴史は、過去を忘れないために学ぶもの。


そして、未来の平和を守るため🎶に語り継ぐもの。」


乾杯した。



厨房ではヴィオラとアンが次の料理を準備している。



La Strega の夜は、料理の香りとともに、



戦争ではなく平和について語り合う穏やかな時間が、静かに流れていた。 



魔女のホウキの先にはチョコレート
魔女のホウキの先にはチョコレート




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エレナが祖母マリアに質問する、


ムッソリーニが北イタリアの田舎で拘束って


もしかしてコモ湖の近くなの??



そうよ。








マリアは話す。


ムッソリーニが拘束されたのは、コモ湖の北西岸にあるドンゴ。


1945年4月27日、ムッソリーニはドイツ軍の車列に紛れ、


スイス国境へ逃げようとしていた。


しかし、ドンゴでレジスタンスによる検問を受け、


ドイツ兵に変装していたものの正体を見破られ


拘束されました・・・。















ー解説ーー

その後、ムッソリーニは近くのジュリーノ・ディ・メッツェグラへ移され、

1945年4月28日に処刑されました。

そして翌日の4月29日、遺体は約80km南にある【ミラノのロレート広場】へ運ばれ

市民の前で公開されました。

この場所が選ばれたのは、1944年8月に同じロレート広場

でレジスタンス15人が処刑され、その遺体が見せしめとして

放置された場所だったためです。

レジスタンス側は、その出来事への報復とファシズムの終焉を象徴する意味を込めて、

この広場を選びました。







マリアが語る



🎵コモ湖を訪れる人の多くは、美しい景色やヴィラ・デル・バルビアネッロなどの名所を思い浮かべます。しかし、湖の北部には、第二次世界大戦の終幕を象徴するこのような歴史の舞台も存在します。

穏やかな湖面と、その地で起きた歴史の重み。

この対比が、コモ湖を訪れる多くの人に深い印象を残しています。🎵



ーーレモンの守り人ーーー



マリアは静かに語った。


「昔から、この島には一つの言い伝えがあります。」


静けさは恐れのみから生まれるものではない
静けさは恐れのみから生まれるものではない

「白い陶器のレモンを受け継ぐ者は、レモンの守り人と呼ばれます。」


アレッシオとエレナは顔を見合わせた。


「守り人は、決して一人では旅をしません。」


「二人で歩きます。」


「兄と妹のように。」


「友のように。」


「血のつながりを越えた家族として。」


「一人が迷えば、もう一人が支える。」


「一人が悲しめば、もう一人が静かに待つ。」


「それが、この島に伝わる約束です。」




アレッシオは尋ねた。





「それでは、冗談話ですが、、聞いていいでしょうか、、、、、、、


恋人にはならないのですか。」


この質問に、エレナは少し笑った。


マリアも同じく、少しだけ笑った。




「けれど、守り人の役目は、二人だけの幸せを守ることではありません。」




「『名もなき人々の勇気』を、未来へ渡すことです。」


「だから守り人は、互いを独り占めしません。」


「島を、町を、人々を愛する心を、何より大切にするのです。」


暖炉の火が静かに揺れた。


「もし守り人が、自分たちだけの幸せを選ぶ日が来れば……。」


「白い陶器のレモンは、新しい守り人を探すと言われています。」




エレナは、そっと自分のレモンを両手で包んだ。


「だから私たちは、家族のような、、なのですね。」


マリアは優しくうなずく。


「そうです。」


「レモンの家族です。」


「血では結ばれていません。」


「使命によって結ばれています。」


「そして、その場合は、その絆は兄妹よりも深く、


恋人よりも長く続くことがあります。」



つづく





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