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フルーツ詰め込んだ太陽のパン、デイツ

x Happy
10月2日
読了時間: 2分


ローマの夕暮れ。


アンは今日とどいたドライフルーツのデイツを眺めている。


作業開始。


La Stregaの厨房で、アンはデーツを一粒つまんだ。


「不思議。干し柿みたいに甘い」


シェフのヴィオラが笑った。


「デーツはね、砂糖を足さなくても、とても甘くなるの。木の上で熟して、水分が抜けていくと、果実の糖がぎゅっと濃くなるから」


アンはもう一粒食べた。


「蜂蜜みたいで、黒糖みたいで……少しキャラメルみたい」


「何千年も昔から人が食べてきた果物よ。砂漠では貴重なエネルギー源だった。小さな実だけど、中身はずいぶん濃いの」


するとアンが言った。


「じゃあ、砂漠の人は太陽を食べていたんですね」




ヴィオラは手を止めた。


「……それ、いい表現ね」


その日、アンはパンを焼いた。


刻んだデーツをたっぷり。 イチジク、アプリコット、レーズン、オレンジピール。 さらにクルミとアーモンド。


あまりに具を入れるので、ヴィオラが尋ねた。


「アン、それはパンなの?」


アンは真顔で答えた。


「果物を、パンでつないでいます」


🎼🎼焼き上がったパンを切ると、断面は宝石箱のようだった。


その夜、La Stregaでは薄く切って、


熟成チーズと一緒に出した。


客が一口食べる。


「甘い。でも砂糖菓子の甘さじゃない」


デーツの黒糖のような甘さ。 イチジクの粒。 アプリコットの酸味。 ナッツの香ばしさ。 そこへチーズの塩気。


客はもう一切れ取った。


「危険なパンだな」


「なぜです?」


「食事が終わったのに、またワインを頼みたくなる」


支配人は笑って、ムラーノのグラスに少しだけワインを注いだ。




SUN IN THE BREAD


― パンの中の太陽 ―


デーツの甘さは、 砂糖だけがつくる甘さではない。


太陽と果実と、 待った時間がつくる甘さなのだ。


 つづく 


著作権ここにあり、転載不可


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