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魔女のキスとトヨタのバンパー 🎃ハロウィン

x Happy
9月12日
読了時間: 4分
Il Bacio della Strega ― 魔女のキスローマの夜。
Il Bacio della Strega ― 魔女のキスローマの夜。

仕事を終えた航空会社勤務の男性二人が、La Stregaを訪れた。


一人は航空会社のマネージャー。


もう一人は長年一緒に働いている同僚だ。


「今日は飛行機の話は禁止な」


「賛成。遅延も欠航も、空港も忘れよう」


白いクロス、磨かれた銀のカトラリー。


ムラーノのワイングラスには赤ワイン。


二人はようやく仕事から解放された顔で乾杯した。





🎼前菜は、焼いた帆立と白いんげん豆。 レモンとオリーブオイルの香りがふわりと立つ。


続いて、ポルチーニの手打ちパスタ。


「こういうものを食べてる時くらい、仕事を忘れたいよな」


「本当に。今日は客室乗務員の話も禁止」


「もちろん」


二人はそう言って笑った。


🎼メインの仔羊の香草ローストを食べ終えるころには、


ワインのボトルもずいぶん軽くなっていた。


そして最後。


支配人が白い皿を静かに置いた。


そこにあったのは――


🎼真っ赤な唇。


艶々として、ぷっくりと膨らんだ、完璧な唇の形をしたデザートだった。


「こちらは今夜のデザート、Il Bacio della Strega――魔女のキスでございます」


甘酸っぱいラズベリーのムース。


中にはホワイトチョコレートのクリームとベリーソース。


底には薄いアーモンドのサブレ。


支配人が去る。


二人は黙って、赤い唇を眺めた。


三秒。


五秒。


そして一人が言った。


「……いるよな」


「何が?」


「うちの客室乗務員に、こういう唇の人」


♬同僚が吹き出した。


「お前、さっき客室乗務員の話は禁止って言っただろ」


「いや、これはデザートの責任だ」


同僚も顔を近づける。


♬「確かに……ちょっとプラスチックみたいにツルツルだな」


「そうなんだよ。風速30メートルでも形が変わらなそうだ」


「飛行機より耐候性が高いじゃないか」


二人は声を抑えて笑った。


すると男性が、唇を横からじっと見た。


「でも俺、これを見ると、もう一つ思い出すものがある」


「何?」


♬「トヨタのバンパー」


同僚がワイングラスを置いた。


「なんで女性の唇から自動車部品に行くんだよ!」


「見てみろよ。この艶、この曲線」


「見るな、分析するな」


「しかも丈夫そうだ」


「デザートに耐衝撃性能を求めるな」


男性はフォークを入れた。


赤い表面がスッと割れ、


中から柔らかなラズベリームースと白いクリームが現れた。


一口。


男性の顔が変わった。


「……うまい」


「バンパーじゃなかった?」


「うん。思ったより柔らかい」


「当たり前だ! 本物のバンパーだったら【歯科医院行き】だよ」


「でもトヨタなら、なかなか壊れないぞ」


その瞬間だった。


隣のテーブルから女性の声がした。


♬「……私、トヨタで働いてますけど」


二人のフォークが止まった。


ゆっくり隣を見る。


上品な女性が、ワインを飲みながらこちらを見ている。


「…………」


航空会社の男が小声で言った。


「聞かれてた?」


同僚も小声で答える。


「たぶん、離陸から着陸まで全部」


「まずいな」


「航空会社勤務なんだから、こういう時こそ緊急脱出しろ」


男は少し考えた。


🎼そして残っている唇のデザートを見た。


「いや」


「?」


「今日はトヨタで帰ろう」


「結局そこに着陸するのかよ!」


その会話を聞いていた支配人が、静かに二人のテーブルへやってきた。


「お客様」


「はい?」


「La Stregaから一つお願いがございます」


「何でしょう?」


支配人は真っ赤な唇のデザートを指差した。


「次回から、このデザートを召し上がる際は……」


二人が支配人を見る。


「外見についてのコメントは、離陸前にお済ませください。」


二人は吹き出した。


すると隣のトヨタの女性が、さらに一言。


「でも、そのデザート――」


「はい?」


女性は微笑んだ。


「トヨタなら、もう少し長持ちしますよ。」


一瞬の沈黙。


そしてLa Stregaのテーブルから、大きな笑い声が上がった。


航空会社の男は赤い唇を見ながら言った。


「負けたな」


同僚がワインを飲む。


「ああ」


「今夜いちばん着陸が上手かったのは……」


二人は隣の女性を見る。


♬「トヨタだったな。」


ローマの夜。


La Stregaの「魔女のキス」は、その夜だけ――


航空会社よりも、自動車会社のほうが上手に乗りこなしていた。 



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Il Bacio della Strega ― 魔女のキス


味


甘酸っぱいラズベリーと、まろやかなホワイトチョコレート。


バニラの香りがふわっと残ります。


中身


赤い唇の中は、ラズベリームース → ベリーソース → ホワイトチョコクリーム。


底にはサクサクのアーモンドサブレ。


見た目は情熱的、食べると優しい――


そんなLa Stregaの🎃「魔女のキス」です。



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ちなみにトヨタ車ですと、、、こんな感じ






つづく


著作権ここにあり、転載不可





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