15歳の春
- x Happy
- 3月29日
- 読了時間: 4分
2026年3月下旬、札幌の狸小路近くにある小さなカフェ「Bean Voyage」。
桜の蕾がピンクに膨らみ始めた土曜の午後、窓際のテーブルに高校1年生の3人が
陣取っていた。

制服を脱いで私服の彼女たちは、ホットラテと抹茶チーズケーキを
シェアしながら、スマホを片手に笑い声を上げている。
「あー、もうすぐ春休みだね。15歳の春って、なんか特別だよね」
最初に口を開いたのは、明るい茶髪をポニーテールにしたあかり。
TikTokで毎日短い動画を上げている元気娘だ。
「特別って、何が?」
隣でノートに夢をメモっているのは、黒髪ストレートのゆい。
眼鏡の奥の瞳がいつも真剣だ。
「将来の夢! もう高校生なんだから、本気で考えないと」
あかりがフォークを振りながら続ける。
「私は絶対、コンテンツクリエイターになる! 世界一周しながら日本の可愛いカフェ紹介して、スポンサー取って稼ぐの。2026年って、AIが動画編集までやってくれる時代じゃん? 私、AIツール使いこなしてバズらせる!」
ゆいが小さく笑う。
「あかりらしいね。でもさ、世界一周って……今、円安ヤバくない?
1ドル150円超えてるって親が言ってたよ。
飛行機代だけで数十万飛ぶんでしょ?
私、最近親の話聞いてて、日本経済って本当に大丈夫かなって思うんだよね」
3人目のみさ――ショートカットでクールな理系女子――が、
抹茶ラテを一口飲んでから静かに頷いた。
「私もそれ思う。少子高齢化で労働力不足だってニュースばっかり。
企業は外国人労働者頼みで、でも日本人学生の就職は『安定』って言われてるのに、
実際は非正規が増えてるじゃん。
親の世代みたいに『一生安泰』なんて幻想だよね。
うちの父さん、去年ボーナス減らされて
『もう日本で働くの疲れた』ってため息ついてた」
あかりがスマホを置いて身を乗り出す。
「でもさ、逆にチャンスもあると思うよ!
観光客が爆増してるじゃん。
北海道もインバウンドでホテル満杯だって。
円安のおかげで外国人がお金落としてくれて、
経済回ってる部分もあるよね。私がカフェ動画上げたら、
海外の人が『行ってみたい!』って来てくれるかも。
AI時代だって、全部取られるんじゃなくて
『人間らしい体験』を売る仕事が増えるって先生が言ってたよ」
ゆいがノートを閉じて、ちょっと不安げに微笑む。
「私は保育士か小学校の先生になりたい。
子どもたちに『夢を持っていいよ』って伝えたい。
でも、保育士の給料ってまだ低いままだよね。
物価は上がってるのに……。
日本って、子育て支援も増えてるけど、
根本的に『若い人が安心して子ども産める経済』になってない気がする。
少子化加速したら、私たちの年金どうなるの? って、
15歳で考えるの早すぎ?」
みさが静かに笑った。
「早すぎないよ。むしろ今考えないと。
私の夢はAIエンジニア。環境問題も解決したい。
2026年って、気候変動の影響で北海道の雪も減ってるじゃん?
でも日本はロボットとAIで世界トップだよ。
トヨタもソニーも新しい技術出しまくってる。
賃上げも去年から少しずつ企業が本気出してるみたいだし、
NISAで若い子が投資始めてるってニュース見た。
親の世代は『失われた30年』って言ってたけど、
私たちは『次の30年』を創る世代だと思うんだよね
。経済が全部悪いわけじゃない。
悪い部分は変えていけばいい」
あかりが両手を広げて明るく叫ぶ。
「そうそう! 私たち3人、違う夢だけど、
結局『日本を面白くしたい』って同じじゃん。
円安でも、少子化でも、AIが来ても――私たちが動けば変わるよ!
夏休みに一緒に起業計画でも立てようぜ。
カフェで事業計画書書くの、なんかワクワクしない?」
ゆいが吹き出して、
みさが珍しく大きな笑顔になる。
「じゃあ次は、私が作ったAIで
夢をシミュレーションしてみよっか」
窓の外では、春の風に桜の蕾が揺れていた。
15歳の3人は、まだ小さなカフェのテーブルで、
大きな日本の未来を、まるで自分のもののように語り合っていた。
2026年の春は、彼女たちにとって、
ただの「夢の季節」ではなく、
「変えていく季節」の始まりだった。
今日3月29日日曜日、一ドル159円。
160円突破予想もニュースより。


