haru wakame 潮の香り
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- 4月22日
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春の小樽。まだ少し冷たい風の中に、やわらかな潮の香りが混じるころ——
小樽の浜辺に、不思議ではなく“秘密”の国からやってきたアリスが立っていました。
【小樽の春わかめ】

波にゆられていたのは、やわらかく瑞々しい春わかめ。
冬を越えたばかりのわかめは、葉が薄くて香りがやさしく、口にするとほんのり甘い。
「これは……秘密にしておきたい味ね」
アリスはそっと摘み取り、エプロンのポケットにしまいました。
一品目:わかめと豆腐のやさしいお吸い物
小さな台所で、アリスは昆布と鰹で出汁をとります。
「強すぎる味は、この子には似合わないわ」
ふわりと湯にくぐらせた春わかめを、絹ごし豆腐と一緒に椀へ。
澄んだ汁に浮かぶ緑は、まるで海そのもの。
ひと口すすれば、体の奥までほどけていくようでした。
二品目:春わかめの酢の物
「今度は、少しだけ目を覚ます味に」
薄く切ったきゅうりと合わせ、やさしい酢で和えます。
ほんの少しの砂糖が、わかめの甘みを引き立てる。
しゃくり、と歯に触れる食感。
海の香りが、春風のように鼻を抜けていきました。
三品目:春わかめとしらすのふんわり卵とじ
最後は少しだけ温かみのある一皿。
「秘密は、火を入れすぎないこと」
しらすと出汁を温め、さっとわかめを加え、卵でとじる。
半熟のやわらかさが、すべてを包み込む。
口に入れた瞬間、潮の旨みと卵の甘みが重なり、
どこか懐かしい気持ちになりました。
夕暮れの小樽。
窓の外には、静かな港と、遠くの灯り。
アリスはひとり、小さく微笑みます。
「秘密の国じゃなくても、こんなに美味しいものがあるなんて」
そしてその味は、誰にも言わない“秘密”にしておくには、
少しだけ優しすぎるのでした。


