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La Strega 真実は叫ばない⑤・白い陶器のレモン

x Happy
7月20日
読了時間: 4分



ローマは、細かな雨に濡れていた。


石畳には街灯の光が映り込み、まるで昔の記憶がゆらゆらと揺れているようだった。


アレッシオのアパートのポストには、


また手紙が入っていた。


La Stregaからの招待状、、、




時間をすぎてから到着した。


イタリアでは、少し遅れることが美徳、、、




アレッシオが La Strega の扉を開くと、支配人は何も言わず、


 

小さな陶器のレモンを差し出した。




【🎵このレモンは帰りお持ち帰りください、忘れずに、、、

そしてそれは、あなたの運命を変えます。。。】


『あ、、、運命か、、これが陶器のレモン』





「今夜は、この席です。」


案内されたのは、前回とは違う半円形の小部屋だった。


壁には古いワイン樽が並び、小さな暖炉では薪が静かに燃えている。


テーブルには五人。


見知らぬ人ばかりだった。



しかし、不思議と誰も緊張していない。そして温かい安心感。



最初の一皿が運ばれる。


🎶炭火で軽く炙ったメカジキのインボルティーニ。



薄く巻かれたメカジキの中には、パン粉、松の実、レーズン、ハーブ。




皿にはオレンジの皮が細く削られ、エキストラバージンオリーブオイルが静かに輝いていた。


「今日はシチリアの記憶です。」



支配人がそう告げると、姿を消した。




最初に話し始めたのは、銀色の髪をした時計職人だった。


「時計は面白いものです。」


「止まっていても、一日に二度だけ正しい時刻を指します。」


彼は懐中時計を開いた。


中には時計ではなく、


『小さな家族写真』が入っている。


「私は時間を直す仕事をしていました。」



「でも、本当に直したかったのは、人と人との時間だったのかもしれません。」



誰も口を挟まない。



キャンドルの炎だけが静かに揺れる。




二皿目は、


🎶栗粉のタリアテッレ、ポルチーニ茸と黒トリュフ。


香りが部屋いっぱいに広がる。





その時だった。


個室の外を、誰かがゆっくり歩いていく。


靴音は止まらない。


一定の速さで廊下を通り過ぎる。


一人。


また一人。


さらにもう一人。


誰も扉を開けない。



時計職人はワインを口に含み、小さくつぶやく。




「昔から、この店の廊下は静かなほうがいい。」




その意味を尋ねる者はいなかった。




三皿目は、


🎶鴨胸肉のロースト、赤ワインとイチジクのソース。


深い紫色のソースが、黒い皿の上で静かに光る。





今度は老婦人が話し始めた。



「私は昔、小学校の教師でした。」



「ある日、一人の少年が毎日レモンを一つ持ってくるようになったの。」



『先生、これを教室に置いて。』



理由は教えてくれなかった。



でも、その教室では、不思議と子どもたちの笑顔が増えた。



何十年も経ってから、その少年はこう言ったそうです。



『あの香りがあると、みんな少し優しくなれた気がしたんです。』




デザートは、


オリーブオイルのジェラートと、ローズマリーの蜂蜜。


甘さは控えめ。



最後にレモンの皮がほんの少し削られていた。




食後のエスプレッソが運ばれる頃、



支配人が『一枚の紙』を


アレッシオの前だけに 置いた。





そこには一つの住所だけが書かれている。


『ローマの古い地区。


建物の名前もなく、番地だけ。』






「・・・・・・ここへ行けばいいのですか。」



サンタンアンドレア通り(歴史的中心街、トレビの泉やスペイン広場の近く)


 しかし、具体的な建物名がかかれていない、、、、



支配人は首を横に振った。


「いいえ。」



『「行く日が来れば、その場所のほうから、


あなたを見つけます。」』



その言葉を残し、支配人は厨房へ戻っていった。


アレッシオは窓の外を見る。


雨はいつの間にか止み、石畳には月の光が差していた。


なにげなく陶器のレモンを手に取り、その裏面をみた。


その裏面に、小さな文字が刻まれていることに気づく・・。



「静けさは、恐れだけでは生まれない。」



その意味を考えながら、彼は店を後にした。


そして、彼の知らないところで、La Strega の二階の窓から、


一人の初老の男性がその後ろ姿を静かに見送っていた。




男は誰にも声をかけず、テーブルの上の古い名簿を閉じる。




その名簿の最後のページには、新しい一行だけが書き加えられていた。




「アレッシオという名の男――まだ何も知らない。しかし、聞く耳を持つ者。」



物語は、静かに次の扉へと続いていく、陶器のレモンを鞄にしまった。 



アレッシオは、思う。


あの街が静かなのは、


何か、みんな恐れているからだ、、、、



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con amore e rispetto




 

つづく

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