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La Strega 真実は叫ばない⑨人魚が置いた白い花

x Happy
7月20日
読了時間: 5分

更新日:7月22日


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マリアはこの町の伝説を教えてくれた。


トロペアにある言い伝え。


春レモンの花が最初に咲く夜、、


海の人魚は一度だけ岸にあがる、、、



彼女はレモンの花を一輪だけ岩の上に置き、海へ帰る、、、



♪その花をみつけたものは、


♪人の秘密を暴く力ではなく、


♪ひとの悲しみを理解する心を授かる、、、、


レモンの花
レモンの花

エンゼルフィッシュと人魚
エンゼルフィッシュと人魚




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ー家族という小さな砦ー


暖炉の火は、少し弱くなっていた。


マリアは黒い服の裾を静かに直し、


籠の中から薪を一本取り出した。


年老いた手は細く、節くれ立っていたが、


その動きには迷いがなかった。


薪を炎の奥へ入れると、火はゆっくり息を吹き返す。





ぱちり、と乾いた音が部屋に響いた。



アレッシオは、机の上の古い日記を見つめたまま言った。



「十九世紀のシチリアは、なぜそこまで人々が家族を頼ったのでしょうか。」


マリアは火を見つめた。


しばらく沈黙してから、静かに口を開いた。


「国というものが、まだ遠かったからです。」


「今の若い人には、少し分かりにくいかもしれません。」




「今なら、困った時には役所へ行く。警察へ行く。法律に頼る。」



「けれど昔は、そう簡単ではなかった。」




マリアは椅子に腰を下ろした。



暖炉の光が、彼女の横顔を橙色に照らす。




「十九世紀のシチリアでは、国の力が隅々まで届いていなかったのです。」


「道は悪く、村は遠く、役人も警察も十分ではなかった。」


「何かが起きても、すぐに誰かが助けに来てくれるとは限らない。」


「だから人々は、まず家族を頼りました。」


アレッシオは小さく頷いた。


「家族が、警察や役所の代わりだったのですか。」


マリアは少し考えてから言った。


「代わり、というより……。」


「生きるための、最初の砦でした。」


「父が倒れれば、息子が働く。」


「夫を亡くした女がいれば、兄弟や従兄弟が畑を手伝う。」


「子どもが食べられなければ、親戚の家でパンを分ける。」


「誰かの娘が結婚するとなれば、村中で少しずつ支度を助ける。」


マリアは、指先を暖めるように両手を火へ向けた。


「それは美しい助け合いでもありました。」


「家族という言葉には、温かさがありました。」


「血のつながりは、安心でもありました。」


けれど、そこでマリアの声は少し沈んだ。


「でもね、アレッシオ。」


「強い結び付きは、時に人を縛る鎖にもなります。」


アレッシオは顔を上げた。


マリアは続ける。


「家族を守るために、黙る人がいた。」


「親戚を守るために、見ないふりをする人がいた。」


「村の平和を乱さないために、正しいことを言えない人もいた。」


「それを、簡単に臆病とは言えません。」


「その人の後ろには、食べさせなければならない子どもや、


寝たきりの親や、明日の仕事があったのです。」




暖炉の炎が、大きく揺れた。



その光の中で、マリアの瞳は遠い時代を見ているようだった。


「国家が弱い時、人は近くにあるものにすがります。」


「家族。」


「親戚。」


「村。」


「顔を知っている人。」


「昨日も今日も同じ市場に立つ人。」


「それらが人を救うこともあれば、人を沈黙させることもあった。」


アレッシオは、ポケットの中の陶器のレモンに触れた。


冷たいはずの陶器が、少しだけ温かく感じられた。


「では、マリアさん。」



「その時代の人々は、間違っていたのでしょうか。」



マリアはすぐには答えなかった。



薪が崩れ、赤い火の粉が舞う。



やがて彼女は、静かに首を横に振った。


「人は、歴史の外からなら何でも言えます。」


「勇気を出せばよかった。」


「立ち向かえばよかった。」


「黙るべきではなかった。」


「けれど、その時代の中で生きていた人には、


その日を越えるだけで精いっぱいの夜もあったのです。」


マリアは、ゆっくりとアレッシオを見た。


「だから私は、人を裁くよりも、知りたいのです。」


「その人が何を恐れたのか。」


「何を守ろうとしたのか。」


「誰のために沈黙したのか。」


「そして、どこで小さな勇気を出したのか。」


部屋は静かだった。


だが、その静けさは空虚ではなかった。


古い壁、


本棚、


丸い食卓、


白いレモンの花。




すべてが、マリアの言葉を受け止めているようだった。


「アレッシオ。」


マリアは最後に、暖炉へ視線を戻した。




「家族の結び付きは、この土地の光でもあり、影でもありました。」


「光は、人を助けました。」


「影は、人を黙らせました。」


「でも、その両方を知らなければ、


この土地の本当の歴史は分かりません。」


アレッシオは、黙って日記を開いた。



そこには、震えるような文字で一行だけ書かれていた。


『国が遠い時、人は隣の手を握る。


だが、その手がいつも自由とは限らない。』



彼はその言葉を、長いあいだ見つめていた。 


つづく

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ー解説ーー


日本との違い


一番大きな違いは、


『イタリアには日本のような世襲の身分制度は


ほとんどなかったこと』です。


日本では、生まれた家によって身分が


固定される面が強くありました。


日本では1871年に公式に身分制度はなくなりました。



一方、イタリアでは、


商人になって成功する人


職人として名声を得る人


教会に入って社会的地位を得る人


など、身分が変わる可能性が


日本より大きかったと考えられています。




イタリア南部のマ●●●は、日本のような職業差別から


生まれたわけではありません。



むしろ、


「国家権力が弱かった地域」で、


土地を守る私的な武装集団が力を持ち、


やがて強い反社会 組織へと変化していった


という歴史があります。

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マキシ裁判(Maxi-trial)の判決:1987年1月

338人に計2200年を超える禁錮刑が言い渡されました。

1992年有罪が確定しました。

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日本の反社会勢力と表現される裏側


では「身分制度」と「差別」が長く続いたことが背景の一つ。




昔の日本では、社会に必要な仕事なのに穢れとみなされ差別があり、


差別されながら、国家や、武士社会に必要不可欠な仕事をしていた


『職人』でもあった


という事実がありました。


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イタリアでは「国家の統治が弱かった地域」で、


私的な権力組織が発展したことが背景。


日本とイタリアの社会の成り立ちの違いがあります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 つづく


著作権ここにあり、転載不可

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