NAKA NAKA
- x Happy
- 5月31日
- 読了時間: 3分
更新日:23 時間前
百年の孤独と中々
春の終わりの夜でした。
ーーバルでの出来事ーー
港町の小さなバルで、
イソッタは一冊の本を開いていました。
その本の名は、百年の孤独。
窓の外では雨が静かに降り、店内には麦を炒ったような香ばしい香りが漂っています。
「何を読んでいるの?」
そう声をかけてきたのは、白髪の店主でした。
イソッタが本の表紙を見せると、
店主は微笑みながら一本の焼酎を棚から取り出しました。
そのラベルには『中々』と書かれていました。
中々。
「面白いことを教えてあげようか。」
店主はグラスに中々を注ぎました。
琥珀色ではない透明な焼酎なのに、
不思議と麦畑の夕暮れを思わせる香りが立ち上ります。
「この中々はね、あの有名な焼酎の原酒にもなるんだ。」
イソッタはうなずきました。
それは焼酎好きなら誰もが知る銘酒。
まるで伝説のように語られる麦焼酎です。
「百年の孤独を読んでいるとね。」
店主は静かに言いました。

「人はみんな孤独を抱えて生きているんだと思う。
でも、その孤独は決して悪いものじゃない。」
イソッタは本を閉じました。
遠い南米の村マコンドで生きた人々。
何世代にもわたって続く喜びと悲しみ。
出会いと別れ。
そして誰にも理解されない孤独。
それは国が違っても、時代が違っても、
人間の心に流れる同じ川のようでした。
グラスの中々をひと口。
ふわり。
麦の甘い香り。
そして驚くほど柔らかな余韻。
派手ではありません。
しかし飲めば飲むほど、その奥深さが見えてきます。
まるで百年の孤独という物語のように。
最初は不思議で難しく感じても、読み進めるうちに少しずつ世界が広がっていくのです。
店主は笑いました。
「『中々』って名前は面白いだろう?」
「ええ。」
「人生も中々思い通りにならない。
でも、なかなか悪くない。」
その言葉に、イソッタは思わず笑ってしまいました。
雨音が静かに響いています。
本を読む夜。
美味しい焼酎。
温かな人との出会い。
それだけで十分幸せなのかもしれません。
イソッタはもう一度グラスを持ち上げました。
百年の孤独が語る、人の心の長い旅路。
そして中々が運んでくる、麦の優しい香り。
どちらも派手さはありません。
けれど、時を重ねるほどに深く愛されるものです。
窓の外では雨がやみ、雲の切れ間から月が顔をのぞかせました。
その月明かりはグラスの中で静かに揺れ、
まるで百年続いた孤独に、
「あなたは一人ではないよ」
と語りかけているようでした。
つづく
解説
小説 ガルシアマルケス(コロンビア)の
百年の孤独は、架空の村マコンドを開拓したお話です。
宮崎県の老舗黒木本店が製造するプレミアム麦焼酎は
『百年の孤独』です。
お酒は20歳になってから。
ノベルタイムも適量をおたのしみください。


