ふきのとうの天ぷらとお味噌煮
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- 4月29日
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更新日:5月2日
春のやわらかな風が吹くころ、森の奥にひっそりと「ふきのとうの丘」がありました。
そこでは、小さな妖精たちが毎朝、雪の名残の間から顔を出すふきのとうを見つけては、きらきらしたかごに集めているのです。
ふきのとうの天ぷらの森
ある日、白うさぎに導かれて迷い込んだアリスは、その丘で妖精たちと出会いました。
「いちばん春の香りがするお料理を作るのよ」

妖精たちは、小さな指でふきのとうに衣をまとわせ、ふわりと金色の油の湖へ落とします。
じゅわっと音がすると、森いっぱいにほろ苦くてあたたかい香りが広がりました。
アリスが一口かじると――
「まあ、春が舌の上で踊ってるみたい!」
外はさくり、中はほんのり苦くて優しい。冬の眠りから目覚める味でした。
ふきのとう味噌の小さな台所
次に案内されたのは、木の根元にある小さな台所。
ここでは、ふきのとうを刻んで、お味噌と少しの砂糖でくつくつ煮ていました。
「これはね、森の記憶を閉じ込めるお料理なの」
出来上がった味噌は、つやつやとした深い緑色。
白いごはんにちょこんとのせると、まるで春の丘そのもの。
アリスがそっと口に運ぶと――
懐かしいような、まだ知らないような、不思議な気持ちが胸に広がりました。
春のごちそうのひみつ
妖精たちは最後にこう言いました。
「ふきのとうはね、ちょっぴり苦いでしょう?
でもその苦さは、“春が来たよ”っていう合図なの」
アリスはうなずきながら、もう一度天ぷらを手に取りました。
苦味の奥にあるやさしさ、
あたたかさの中にある目覚めの気配。
それはまるで、新しい季節へ一歩踏み出す勇気の味でした。
森を出るころ、アリスのポケットには、
小さなふきのとうがひとつだけ残っていました。
「帰ったら、あなたも作ってみてね」
春の香りは、まだ消えずにそっとそこにありました。



