イソッタの〆さば
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- 5月28日
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週末の金曜日。
夕暮れ前の柔らかな光が、イソッタのキッチンを金色に染めていました。
白いレースのエプロンを身につけたイソッタは、買ってきた新鮮な鯖をまな板の上へそっと置きます。
「今日は、特別な〆さばを作るの」
週末には、大切なお客様たちが来る予定でした。
仕事を頑張っている友人。
少し疲れている人。
遠くから会いに来てくれる人。
だからイソッタは、“安心して美味しく食べてもらえる料理”を作りたかったのです。
キッチンには、小さなメモが貼ってありました。

イソッタはまず、鯖を丁寧にさばきながら、小さく頷きます。
「アニサキス対策、大事だからね」
日本に来てから、魚料理をたくさん学んだイソッタ。
〆さばを作る時には、鮮度だけではなく、安全のこともとても大切にしていました。
そのため、一度しっかり冷凍しておくのです。
家庭用冷凍庫でも、できるだけ低い温度で30時間以上。
(家庭用で沢山ものがはいっているときはしっかり48時間以上)
イソッタはラップを丁寧に巻きながら言いました。
「これなら安心して食べてもらえる」
冷凍した鯖は、翌日にゆっくり解凍。
銀色の皮は美しく、身はしっかりとしていました。
そこから、いよいよ〆さば作り。
まずはたっぷりの塩。
両面にやさしく振りかけると、魚の余分な水分がゆっくり抜けていきます。
窓の外では、春の風。
小さな花屋の前を、人々が楽しそうに歩いていました。
塩をした鯖を休ませている間、イソッタは酢を整えます。
お酢だけでは尖ってしまうので、少し昆布を加えて、角のない味へ。
「優しい味が好きなの」
その声に合わせるように、キッチンには穏やかな酢の香りが広がりました。
時間が経ち、塩を洗い流した鯖を今度は酢へ。
じんわりと締まっていく身。
銀色の皮が、照明にきらりと光ります。
イソッタはそれを見ながら、少し嬉しそうに微笑みました。
「綺麗……」
冷蔵庫には、薬味の大葉。
細く切った生姜。
炊きたてのご飯。
そして、週末用に用意した少し良い日本酒。
準備しているのは料理だけではありません。
“来てくれた人に、ほっとしてほしい”
そんな気持ちも、一緒に仕込んでいるのです。
夜になるころ。
〆さばは、美しく完成しました。
包丁を入れると、淡い桃色の身。
脂がほんのり艶めき、酢の香りが静かに立ち上ります。
イソッタはお皿に丁寧に並べながら、小さく言いました。
「週末、楽しくなるといいな」
その横では、小さな鍋でお味噌汁が温まり、
キッチンの灯りは、まるで誰かを迎えるためように
優しく光っていました。
つづく
作り方の手順としては
① 新鮮な鯖を三枚おろしにする
② 骨を抜く
③ ラップして冷凍(できれば48時間以上)
④ 冷蔵庫でゆっくり解凍
⑤ たっぷり塩をして30〜60分置く
⑥ 塩を洗って水気を取る
⑦ 酢に20〜40分ほど漬ける
⑧ 薄皮をむく
⑨ 切って盛り付ける


