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ウラル山脈とイソッタ

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  • 6月2日
  • 読了時間: 3分

ある冬の日。


イソッタは暖炉の前で温かい紅茶を飲みながら、


一冊の本を開いていました。


『ディアトロフ峠事件』


表紙にはこう書かれています。


『「ディアトロフ峠事件」』


1959年、旧ソ連のウラル山脈。


経験豊富な若い登山家9人が雪山へ向かいました。


ところが数週間後、彼らは全員亡くなっているのが発見されたのです。


テントは内側から切り裂かれ、 真冬の氷点下30度にもなる吹雪の中を、


彼らは靴も履かずに飛び出していました。


なぜそんな行動を取ったのか。


60年以上もの間、


『宇宙人説』


『軍事実験説』


『雪男説』


まで、


さまざまな噂が語られました。


イソッタは窓の外の雪を眺めながら言いました。


「でもね、真実は時々、とても静かな場所に隠れているの。」


実は2021年。


研究者たちは最新のコンピューター技術を使って、


事件を改めて調べました。


その中で大きな役割を果たしたのが、


世界的大ヒット映画


Frozen


つまり、


ーーーー『アナと雪の女王』------


の制作で使われた雪のシミュレーション技術だったのです。


「えっ?アニメ映画が遭難事件を解決したの?」


と驚く人もいるでしょう。


イソッタも最初は驚きました。


映画の制作スタッフは、


雪がどう崩れ、 どう滑り、 どう積もるのかを、


非常に精密に計算する技術を開発していました。


美しい雪景色を描くためです。


ところがその技術は、


現実の雪崩の研究にも応用できたのです。


研究者たちは当時の地形を再現しました。


そして何千回もシミュレーションを行った結果、


その夜、


斜面の上に積もっていた雪の塊がゆっくり崩れ落ち、


テントを圧迫した可能性が高いことが分かったのです。


巨大な雪崩ではありません。


遠くから見ると気づかないほどの、


小規模な「スラブ雪崩」でした。


しかし真夜中にテントを押し潰すには十分でした。


登山隊は危険を感じて脱出し、


その後の極寒によって命を落としたと考えられるようになったのです。


イソッタは微笑みました。


「私はこの話(解決した話)


が大好きなの。」


「なぜ?」


と聞かれると、


彼女は暖炉の火を見つめながら答えました。


「だってね。」


「世界中の子供たちを楽しませるために作られた技術が、」


「60年以上解けなかった謎を解く手助けをしたのよ。🎵」


誰かが作った映画。


誰かが描いた雪。


誰かが考えた数式。


それらが何十年も後になって、


遠い山で起きた悲劇の真実へと繋がった。


そんなことが本当にあるのです。


イソッタは最後にこう言いました。


「人生って面白いわ。」


「役に立つと思って始めたことが役に立つとは限らない。」


「でも好きで作ったものが、


思いもよらない場所で誰かを助けることがあるの。」



「いつか誰かの心を温めたり、


世界の謎を解く力になるかもしれないから。」


外では静かに雪が降っていました。


まるで60年以上前のウラル山脈の雪が、


ようやく安らかな答えを見つけたことを


『祝福』しているかのように。  

ロシア、ウラル山脈
ロシア、ウラル山脈

つづく

 
 
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