人生のルート
- x Happy
- 5月21日
- 読了時間: 3分
更新日:5月24日
アリゾナ州を貫く、長い長い U.S. Route 66 。
古びたガソリンスタンド。
色あせたネオン看板。
砂漠の中にぽつんと残るダイナー。
砂漠に潤いを感じる場所。
そこを、ルチアとエリオは 古いオープンカーで走っていました。
乾いた風が、 二人の髪を揺らします。
カーラジオからは、
Lady Gaga の歌。

夕焼け色の空に、 切ないメロディが流れていました。
「この道、昔の映画みたいね」
ルチアが笑うと、 エリオもハンドルを握ったまま微笑みます。
「たぶん、僕たちも、 誰かの思い出になる」
その言葉を聞いた時、 なぜかルチアは、
胸の奥が少しだけ苦しくなりました。
二人は旅の途中で、 Grand Canyon へ向かいました。
観光客で賑わう場所からさらに奥、
赤い岩山と深い谷の向こう。
そこには、 Havasupai の人々が大切に守ってきた
『土地』がありました。
青く澄んだ滝。
乾いた砂漠の中に突然現れる、 夢のような水の色。
ルチアは、 その景色を見た瞬間、 言葉を失いました。
「信じられない…」
エリオは静かに言います。
「昔から、 この土地には
『精霊』がいるって言われてる」
夕暮れになると、 赤い岩壁が燃えるように染まり、
風の音だけが響きました。
二人は谷を見下ろす崖に座り、
何も話さず、 ただ景色を見ていました。
遠くで 大きな羽を自慢げにひろげて優雅に
鷹が旋回しています。
『地球の時間』だけが、
ゆっくり流れているようでした。
「ねえ」 ルチアが小さく言いました。
「もし別れても、 ここだけは忘れないと思う」
エリオは驚いた顔をして、 少し黙りました。
そして苦笑いを浮かべます。
「僕も、 たぶん同じこと考えてた」
砂漠の風も
優しいのに、 どこか孤独でした。
二人は最近、
未来の話をしなくなっていました。
ルチアはニューヨークでインテリアデザインを学びたい。
エリオは西海岸で、 音楽を続けたい。
『お互いをお互いに大切にする気持ちは変わらない』
お互い違う夢を追いかける気持ちは
強くなる
夜になると、 満天の星が広がりました。
街では見えないほどの、
キラキラ輝きが
息をしているような
空一面の星、☆、☆、☆
ルチアは、 エリオの肩に頭を乗せます。
「人生って、 ルート66みたい」
「どういう意味?」
「まっすぐ続いてるようで、 途中でみんな別の道へ行く」
エリオは少し笑いました。
「でも、 同じ景色を見た時間は消えない」
窓の外には、 赤いネオン。
遠くを走るトラックの音。
そして、 砂漠を渡る夜風。
ルチアは眠る前、 小さく思いました。
いつか別々の人生になっても、
アリゾナの空を見るたび、
今日のことを思い出すのだろう、と。
乾いた風。 赤い大地。 青い滝。 果てしないルート66。
そして、 隣にいた、 大切な人の横顔を。
つづく

解説
レディガガの
『Always Remember Us This Wey 』
のメロディに感動したので
その受けた印象を
小説にしてみました。


