夢は動物保護のお話
- x Happy
- 4月9日
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薄暗いオークションホールには、静かな熱気が満ちていた。
シャンデリアの光は、壇上に置かれたひとつの「奇妙な作品」を照らしている。
それは――テラノザウルスの皮膚。

だが、ただの化石ではない。
最新の科学技術によって“再現された”人工皮膚。鱗の一枚一枚が精巧に再現され、触れれば温度すら感じるように設計されているという。
ざわめきの中、ひとりの少女がその様子を見つめていた。
青いドレスに白いエプロン――不思議の国のアリスだった。
「ねえ……本物じゃないのに、どうしてこんなに高いのかしら?」
隣に座る白ウサギは、時計を気にしながら小声で答えた。
「価値とは時間と物語で決まるのですよ、お嬢さん。これは“過去を再び持つ”という夢なのです」
壇上では、オークショニアが声を張り上げる。
「こちらは最新の合成生体素材による“ティラノサウルス皮膚再現標本”! 博物館級の逸品です!」
次々と上がる札。
数字は現実離れした速さで跳ね上がっていく。
アリスは首をかしげた。
「でも……それって“思い出”じゃなくて、“作り物の思い出”よね?」
その言葉に、後ろの席からくすくすと笑い声がした。
振り向くと、帽子屋がいた。
「おやおやアリス、君はまだ分かっていないね。人間はね、“本物かどうか”より、“信じたいかどうか”で価値を決めるんだよ」
「信じたい……?」
「そう。恐竜の時代を触ってみたい、という願い。その願いに値段がついているだけさ」
そのとき、アリスはふと壇上の皮膚を見つめた。
光の当たり方で、まるで呼吸しているように見える。
――本当に、これは“ただの人工物”なの?
彼女は立ち上がり、そっと手を挙げた。
会場が一瞬静まり返る。
「はい、お嬢さんも参加されますか?」
アリスは少し考えてから、首を振った。
「いいえ。わたし、買わないわ」
ざわめき。
「どうしてです?」とオークショニア。
アリスは微笑んだ。
「だって、わたしはもう知っているもの。本物じゃなくても、物語は自分で作れるって」
そう言うと、彼女はくるりと踵を返した。
白ウサギが慌てて後を追う。
その背中を見送りながら、帽子屋はぽつりとつぶやいた。
「――あの子は、いつもいちばん高価なものを持っているね。“想像力”というやつを」
オークションは続く。
数字はさらに上がり続ける。
だが、その場を去ったアリスだけが、
“値段のつかない世界”へと戻っていったのだった。
解説
動物をころさなくても、動物の皮膚のカバンや靴などが
できることを願う企業のお話です。
恐竜のミートボールも人工的にできとか、、なんとか・・・


