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白龍昇、天王星へ①

x Happy
9月15日
読了時間: 2分


漆黒の宇宙を、白龍昇は音もなく進んでいた。


その背には、黒い燕尾服に白手袋の執事。


遠くに、小さな青い光が見えてきた。


「白龍昇様。あれが天王星です」


白龍昇は長い首を少し上げた。


「ずいぶん静かな星だな」


「ええ。ですが、見た目ほど穏やかではございません」


近づくにつれて、淡い青緑色の巨大な球体が視界いっぱいに広がっていく。


「なぜ、あんなに青い?」


「大気に含まれるメタンが、赤い光を吸収するためです」


「なるほど。青い海があるわけではないのだな」


「残念ながら。しかも、降り立つ地面もございません」


白龍昇は少し考えた。


「では、どこに着地する?」


「できません」





「……先に言ってくれ」


執事は涼しい顔で答えた。


「ですから本日は、着地ではなく突入でございます」


「もっと悪いではないか」


二人の前を、天王星の細い環が横切っていく。


執事が温度計を見る。


「そろそろ上層大気です。場所によってはマイナス200度を大きく下回ります」


白龍昇が振り返った。


「お前、その服で大丈夫なのか?」


執事は自分の燕尾服を見た。


「少々、薄着だったかもしれません」


「少々ではない」


やがて白龍昇の白い身体が、青い雲の中へ入っていった。


周囲は一面、深い青。


白い雲が猛烈な勢いで流れていく。


「風も強いな」


「最大で時速900キロほどに達する風が観測されています」


「……帰るか?」


執事は少し笑った。


「ここまで来て、それをおっしゃいますか」


白龍昇も笑った。


そして、さらに深い青の世界へ向かって降りていった。


冷たい星の奥には、今度は想像もつかないほど熱い世界が待っている。


白龍昇が言った。


「外は凍るほど冷たく、奥には数千度の世界か」


「はい」


🎼「星も、人も、外から見ただけでは分からないものだな」


執事は白龍昇の背で静かにうなずいた。


「だからこそ、旅をするのでございましょう」


二人はそのまま、天王星の青い雲の奥へ消えていった。

つづく

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