幸岳山(鏡の中の月)
- x Happy
- 5月30日
- 読了時間: 2分
韓国、雪岳山のふもと。
春がまだ遠い夜でした。
山には白い雪が残り、
月の光だけが、静かな渓流を照らしていました。
その夜、ソウルから来た一人の美しい女性が、
ある宿に泊まっていました。
仕事に疲れ、
人に合わせることにも疲れ、
心のどこかが静かに冷えていた頃でした。
夕食のあと、
宿の隣のバーに女性は入りました。
カウンタ越しのバーテンダーは
透明な酒を小さなグラスに注ぎます。
「雪岳山の水のお酒です」
女性は、窓の外を見ながら、
ゆっくり口にしました。
不思議でした。
強い酒のはずなのに、
冷たい雪の夜に溶けるようにやわらかい。
渓流の音。
遠くの灯り。
山をなでる風。
その全部が、胸の奥へ静かに入ってくる。
「この山にはね、昔からこんな話があります」
バーテンダーが、小さく笑いました。
「月がきれいな夜、雪岳山の水面には、
本当の月より『美しい月』が映るんです。
だから昔の人は、 “鏡の中の月” と呼んだそうですよ」
女性はグラスを見つめました。
透明なお酒の中に、
窓辺の月が揺れていました。
まるで、小さな湖みたいに。
都会ではずっと、
何かを手に入れなければいけない気がしていた。
高いもの。
立派なもの。
誰かに認められるもの。
でも雪岳山の夜は、
そんな焦りを少しずつ溶かしていきました。
ただ静かに飲む。
ただ静かに笑う。
それだけで、人は少し救われるのかもしれない。
主バーテンダーは最後に言いました。
「良いお酒は、人を急がせません」
『雪岳山の水は石のこころまで丸くするんです』
窓の外では、
白い雪の上に月明かりが広がっています。
その夜、女性は久しぶりに、
何も考えず眠ることができました。
テーブルの上には、

月を映したような透明なグラスだけが、
静かに光っていました。
つづく
解説
今宵ロマンティックな絵の
時間を過ごしたいかたへ
韓国ロッテが製造、
サントリーが販売している
雪岳山系の天然水のお酒を
ロマンティックなお話にして
お届けします。
自分はお酒が飲めません
美味しさと美しさは
想像です。
お酒は20歳から。
ノベルタイムも適量でお楽しみください。


