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NovelTIME


和食、お魚の焼き物の奥深さ
お魚の焼き物のお話 「ねえ、ねえ、白ウサギさん! ただの魚を焼くだけなのに、どうしてそんなに不思議なの?」 ウサギは時計をチラチラ見ながら、急いで答えます。 「時間が無いんだ! でも、いいかい? お魚の焼き物は『不思議の国の焼き魚』なんだよ。 表面はカリッと黄金の扉、でも中はふんわり雪のように柔らかい。まるで『食べる扉』 だ! 一口食べたら、君はもう『普通の魚』という退屈な世界から、和食の不思議な国に落 ちてしまうんだ。」 アリスは目を丸くして聞いています。 「まず、素材の選定。これは『不思議のドア』を選ぶようなものさ。 新鮮な魚は、目が澄んだ宝石みたいに輝いている。鱗は銀の雨のようにキラキラ。 でも、ちょっと古くなった魚は、まるで『間違った扉』。 一度開けたら、もう戻れないほど 味が落ちてしまう。 だから、魚屋のおじさんは『この魚は今日の朝、 クイーン・オブ・ハートの海から上がった ばかりだよ』と、ちょっと大げさに言うんだ。 旬の魚を選ぶのは、魔法の鍵を見つけるようなもの。 春は桜鯛、夏は鱧、秋はサンマ、冬はカレイ…… 季節という不思議な時計が
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4月26日


フランスの家庭料理
フランス家庭料理を楽しむ
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4月26日


フランスの家庭料理
かわいい女の子 フランス編 不思議な戸棚を開けると、迷い込んだように 今度は「フランスの家庭料理だけが集まる部屋」へと迷い込みました。 煮込みの国の入口 ぐつぐつ、ことこと。 大きなお鍋が歌うように音を立てています。 「これは何かしら?」 白い帽子の料理人が振り向いて言いました。 「ようこそ、煮込み料理の世界へ」 アリスが覗き込むと、色とりどりの野菜が溶け合う ラタトゥイユ。 赤ワインの香りが深く広がる ブッフ・ブルギニョン。 そして、素朴でやさしい ポトフ。 「時間をかけるほど、美味しくなるなんて…まるで魔法ね」 前菜たちのささやき 隣のテーブルでは、小さなお皿たちがささやいていました。 「私たちは“前菜”よ、食事の始まりを飾るの」 シャキシャキの キャロット・ラペ、 オリーブが踊る サラダ・ニソワーズ、 そして香ばしく焼けた キッシュ・ロレーヌ。 アリスは思わず一口。 「軽やかなのに、しっかり美味しいわ!」 メインディッシュの広間 奥の広間では、堂々とした料理たちが並んでいます。 「ここが食卓の主役たちだよ」 カリッとした皮が輝く コン
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4月26日


ドーパミンのお話
不思議の国のアリスが先生になって、アルツハイマー病とドーパミン不足のお話を、ふしぎな授業スタイルで説明してくれます! みんなで考えましょう!! 先生のアリスは、青いドレスに白いエプロン、頭にリボンをつけて、黒板の前で元気いっぱい立っています。教室は不思議の国らしく、天井からティーカップが浮かんでいたり、ウサギの生徒が時計を気にしていたり……。 アリス先生のふしぎ授業: 「アルツハイマー病の記憶が消えちゃうのは、ドーパミンが足りないからかも!?」 「みなさん、こんにちはー! 私はアリス、今日の先生です。 不思議の国から来ましたけど、今日はもっと不思議なお話ですよ。 お茶を飲みながら聞いてくださいね(でもウサギさん、遅刻しないで!)。 アルツハイマー病って、だんだん大切な記憶がうすれていく病気ですよね。 おばあちゃんが『昨日食べたおやつ』を忘れちゃったり、道を間違えたり……。 今まではアミロイドβっていう悪いタンパク質が脳に溜まるのが主な原因だと言われていました。でも最近、新しい発見があったんです! それは……脳の『嗅内皮質(きゅうないひしつ)』とい
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4月26日


satumaimo
一年中、さつまいもはすーぱーにならんでいますが、 今日は日本とヨーロッパのさつまいもの違いのお話です。 さつまいもの旬の季節は秋。 はじめます。 秋のやわらかな光の中、不思議の国のアリスは、大きなバスケットを抱えて立っていまし た。中には、日本の畑で採れたばかりのさつまいもが、土の香りをまとってごろごろと入っ ています。 日本のさつまいも(ねっとり甘い世界) アリスは一本手に取り、にっこり笑いました。 「日本のさつまいもはね、とっても甘くて“ねっとり”しているの。たとえば“紅はるか”や “安納芋”は、まるでお菓子みたいに蜜があふれるのよ」 彼女はそっと焼き芋を割ります。中からは黄金色のやわらかな身が、ほくほくというより、 とろりとした輝きを見せました。 「これはね、低温でじっくり焼くことで甘さが引き出されるの。デンプンがゆっくり糖に変 わるから、こんなに甘くなるのよ」 ヨーロッパのさつまいも(ほくほく軽やかな世界) すると、どこからか白うさぎが別の籠を持ってきました。中には、オレンジ色のさつまいも。 「こちらはヨーロッパでよく使われるさつまい
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4月25日


調理を楽しむこと
4番がおすすめ
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4月25日


アスパラガス
収穫から食事時間までを楽しむ旅 春のやわらかな陽射しが差し込む午後、アスパラガスの森に迷い込んだ不思議の国のアリスは、緑に輝く細長い芽を一本、そっと手に取りました。 「これはどんな料理になるのかしら?」 その声に応えるように、白うさぎがふわりと現れて言いました。 「アスパラガスはね、調理の仕方で性格が変わる野菜なんだよ」 1. シンプルに“茹でる”という選択 アリスはまず、お湯を沸かしました。 塩をひとつまみ入れて、アスパラガスを立てるようにして茹でます。 「どうして立てるの?」 「穂先はやわらかく、根元は少し固いからさ」 ほんの1〜2分。 引き上げたアスパラガスは、鮮やかな緑とシャキッとした歯ごたえ。 アリスはかじってみて、目を丸くしました。 「春の味がするわ!」 2. 香ばしさを楽しむ“焼き” 次に、フライパンに少しのバターを落とします。 ジュッと音がして、香りが広がる。 「これは少し大人の味ね」 焼き目がついたアスパラガスは、甘みがぐっと引き立ちます。 塩と胡椒だけでも、十分にごちそうです。 3. 優しさを包む“スープ” 森の奥では、帽子屋
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4月25日


パドヴァのアスパラ
春のやわらかな光が差し込む朝、 不思議の国のアリスは、ふと気がつくとイタリアの古都 Padova(パドヴァ)の石畳の上に立っていました。 パドヴァの朝とアリスの散歩 「まあ、ここはどこかしら?」 アリスの目の前には、広々とした Prato della Valle。 その周りには彫像が並び、水路が静かに光を反射しています。 遠くには荘厳な Basilica of Saint Anthony of Padua。 鐘の音が、ふんわりと空気を震わせていました。 そこへ、白うさぎではなく―― 麦わら帽子をかぶったイタリアの農夫が声をかけます。 「今日はアスパラガスの収穫日だよ。来るかい?」 アリスは迷わずうなずきました。 春の畑でアスパラガス採り パドヴァの郊外、ヴェネトの大地。 土の中から、すっと顔を出す白いアスパラガス。 「まるで地面から伸びる魔法のペンみたい!」 アリスはそっと指でつまみ、くるりとひねります。 すると、ぽきん、と心地よい音。 農夫は笑って言いました。 「それはこの土地の宝物さ。甘くてやわらかいんだ。」 籠いっぱいに集める頃には、...
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4月25日


お寿司 Happy Birthday
今日お誕生日の方へお寿司パーティ!
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4月24日


たけのこのお刺身
春のやわらかな風が吹くある日、不思議の国のアリスは、白ウサギを追いかけるのをやめて、ふと山のほうへ足を向けていました。 「今日は、なんだか土の匂いがするわ」 森を抜けると、そこにはまだ少し湿った山の斜面。足元の土はふかふかで、ところどころに小さな“頭”が顔を出しています。 「まあ、帽子みたい!」 それは、たけのこでした。 通りがかった山の精のような老人が、にこりと笑います。 「それは春のごちそうだよ。そっと掘ってごらん」 アリスは小さなスコップを借りて、土をやさしく掘り始めました。ぐっと力を入れると、するり、と白くてつややかなたけのこが現れます。 「わあ、まるで宝物みたい!」 たけのこのお刺身をしょうが醤油、泡醤油で。 いくつか収穫すると、山の上にぽつんとある小さな小屋へ案内されました。そこには、澄んだ水と、包丁と、木のまな板。 「さあ、今度は料理だ」 老人に教わりながら、アリスはたけのこの皮を一枚ずつ丁寧に剥いていきます。中から現れるのは、柔らかく、ほんのり甘い香り。 「こんなにきれいなのね…」 湧き水でさっと洗い、薄く、薄く切っていく。包丁が
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4月23日


haru wakame 潮の香り
春の小樽。まだ少し冷たい風の中に、やわらかな潮の香りが混じるころ—— 小樽の浜辺に、不思議ではなく“秘密”の国からやってきたアリスが立っていました。 【小樽の春わかめ】 小樽の春わかめ 波にゆられていたのは、やわらかく瑞々しい春わかめ。 冬を越えたばかりのわかめは、葉が薄くて香りがやさしく、口にするとほんのり甘い。 「これは……秘密にしておきたい味ね」 アリスはそっと摘み取り、エプロンのポケットにしまいました。 一品目:わかめと豆腐のやさしいお吸い物 小さな台所で、アリスは昆布と鰹で出汁をとります。 「強すぎる味は、この子には似合わないわ」 ふわりと湯にくぐらせた春わかめを、絹ごし豆腐と一緒に椀へ。 澄んだ汁に浮かぶ緑は、まるで海そのもの。 ひと口すすれば、体の奥までほどけていくようでした。 二品目:春わかめの酢の物 「今度は、少しだけ目を覚ます味に」 薄く切ったきゅうりと合わせ、やさしい酢で和えます。 ほんの少しの砂糖が、わかめの甘みを引き立てる。 しゃくり、と歯に触れる食感。 海の香りが、春風のように鼻を抜けていきました。 三品目:春
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4月22日


ポテサラ&日本酒
ある秋の夜、浅草の路地裏にひっそりと佇む居酒屋「明寅の酔月亭」。 カウンターの向こうで、七十を越えた 相性ピッタリ日本酒 ご主人・明寅が静かに河童の形の徳利を温めていた。 「日本酒に、ポテトサラダか……」 カウンターに座ったばかりの青年・浩太が、 メニューを眺めながら呟いた。 仕事帰りで喉が渇いていた彼は、 純米大吟醸を注文したついでに、いつものポテサラを頼んだ。 明寅は小さく笑い、包丁を置いた。 「若いの、ただのポテサラじゃねえよ。 日本酒に合う本物のやつを、出してやる」 明寅は古い木箱からジャガイモを取り出し、 静かに語り始めた。 「まず、うんちくを一つ。ポテトサラダのルーツはロシアだ。 十九世紀のモスクワで、シェフのリュシアン・オリヴィエが作った 『オリヴィエ・サラダ』が元祖さ。 鶏肉、ジャガイモ、ピクルスをマヨネーズで和えた高級料理だった。 それが明治時代に日本へ渡り、帝国ホテルで初めて 『日本風』にアレンジされたんだ。大正時代のことだよ。 当時はまだマヨネーズが珍しくて、帝国ホテルのシェフが 『日本人の舌に合うように』と、じゃがいもを潰
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4月22日


ミートポテトサラダ
夜のキッチンに、ほんのりと温もりが残っていた。 茹でたてのじゃがいもは、まだ湯気をまといながらほくほくと崩れ、 そこに甘く炒めたひき肉がそっと混ざり込む。 絶品ミートポテトサラダ 塩気と旨みが溶け合い、やさしく包み込むように マヨネーズが全体をまとめていく。 仕上げにほんの少しの黒胡椒—— それだけで、ミートポテトサラダは「家庭のごちそう」へと姿を変える。 その皿の隣に、静かに置かれた一杯のグラス。 琥珀色の液体が、ゆっくりと光を反射している。 それは、軽く冷やしたハイボールだった。 炭酸の泡が立ちのぼるたびに、 香りがふわりと広がる。ひと口含むと、 シュワっとした軽やかさと、奥にあるほのかな苦み。 ミートポテトサラダのコクをすっと洗い流し、 次の一口をまた新しくしてくれる。 「重たくなりすぎないのが、いい!!」 そう呟いたのは、この小さな台所の主。 仕事帰りの疲れを、ゆっくりほどいている最中だった。 けれど、今夜はそれだけじゃない。 棚の奥から、もう一本取り出される。 淡い黄金色の液体——それは白ワイン。 グラスに注ぐと、ほのかな果実の香りが広
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4月21日


二人の大根(体調にあわせる)
まだ少し寒い朝、空気は少しだけ張りつめていて、 キッチンの水も冷たい。 佐弥子は袖をまくり、大根をまな板 に置いた。 佐弥子は内蔵が強いとはいえない体質だ。 「今日は、ちゃんと整えないと」 胃が弱っている日は、ほんの少しの刺激でも負担になる。 だから彼女は、大根の“準備”に時間をかける。 皮は厚めにむく。繊維のかたい外側を取り除くためだ。 2センチほどの輪切りにしてから、角をくるりと落とす——面取り。 煮崩れを防ぐだけでなく、口当たりもやわらかくなる。 鍋に米のとぎ汁を入れて、大根を静かに沈める。 弱めの中火で、ふつふつと小さな泡が立つくらい。 「この時間が大事……」 10分ほど下ゆですると、えぐみが抜け、白さがやわらぐ。 水でさっと洗い、今度はだしの鍋へ。 昆布と鰹でとった澄んだだし。 そこに薄口しょうゆをほんの少し、塩ひとつまみ。甘みは加えない。 落とし蓋をして、ごく弱火で30分。 沸騰させないように、静かに、静かに。 やがて、大根はだしを吸い、内側からほのかに透けてくる。 箸を入れると、すっと抵抗なく沈む。 器に盛るとき、佐弥子は汁を少しだ
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4月20日
肯定感、効力感
夜の帳が静かに降りる頃、アリスはふとしたきっかけで、 見慣れない橋の上に立っていました。 石ではなく木でできたその橋の下には、ゆるやかに流れる川。 提灯の灯りが水面に揺れ、遠くからは三味線の音が聞こえます。 「ここは……どこ?」 振り返ると、そこは江戸の町でした。 アリスはふらりと歩き出し、小さな長屋の前で足を止めます。 戸の隙間から、かすかにすすり泣く声が聞こえました。 中には、まだ若い娘が一人。手には縫いかけの着物。 「どうしても、うまくいかないの……」 娘は、針を持つ手を震わせながら言いました。 アリスはそっと声をかけます。 「ねえ、その着物、とても素敵よ」 娘は驚いて顔を上げました。 「嘘よ……私は何をやってもダメなの。周りの人はみんな上手なのに」 アリスは少し考えてから、こう言いました。 「それはね、“自分のことをどう思っているか”と、“自分に何ができると思っているか”が、ごちゃごちゃになっているの」 娘は首をかしげます。 「自己肯定感」と「自己効力感」 アリスは、畳に指で円を描きながら説明しました。 「自己肯定感っていうのはね、“うま
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4月20日


こころの家庭料理
京都の細い路地の奥に、灯りがひとつだけともる小さな店があった。 暖簾には、ただ一言「おばんざい」とだけ書かれている。 その店に、毎週決まった曜日にやってくる男がいた。 名前は、佐伯。都内で働くサラリーマンで、出張のたびにこの店に足を運ぶ。 彼はふとした拍子に、こう思うことがあった。 ——自分は「家庭の味」というものを、ちゃんと知らないのではないか。 コンビニ、外食、出来合いの惣菜。 それは便利で、確かに美味しい。けれど、どこか心の奥に触れてこない。 「ただいま」と言っても、誰もいない部屋。 温め直した味噌汁の湯気は、どこかよそよそしい。 だから彼は、この店に来る。 「いらっしゃい」 店主の女性は、穏やかな声で迎える。 カウンターには、小さな鉢がいくつも並び、季節の匂いが漂っていた。 かぼちゃの煮物、ひじきの炊いたん、だし巻き卵。 どれも派手さはないのに、不思議と胸に沁みる。 「今日も、優しい味ですね」 佐伯がそう言うと、店主は笑った。 「優しいんやなくて、普通なんよ。これが、毎日の味」 その“普通”が、彼には遠かった。 ――その夜のことだった。.
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4月19日


🍇葡萄のおはなし🍇
園庭の片隅に、小さなぶどう棚がある。 朝露をまとった葉は、光を受けてきらきらと揺れ、まだ青い実がいくつも連なっていた。 「せんせい、ぶどう大きくなってるよ!」 園児の声に振り返ったのは、保育士の美咲だった。 柔らかく笑いながら、しゃがみ込む。 「ほんとだね。もう少しで食べられるかな」 その言葉を口にするたび、胸の奥に小さな揺れが生まれる。 美咲は、ぶどうが好きだった。 甘くて、少しだけ酸っぱくて、皮の香りがふわっと広がるあの感じ。 けれど―― りんごも、桃も、食べられない。 小さい頃、給食で食べたりんごで、喉がかゆくなった。 桃ではもっとひどく、呼吸が苦しくなり、病院に運ばれたこともある。 「果物は気をつけてね」 母のその言葉は、ずっと体のどこかに残っている。 保育士になった今も、それは変わらなかった。 給食の時間。 子どもたちの前に並ぶ、きれいに切られたりんご。 「せんせい、これ甘いよ!」 差し出される小さな手。 「ありがとう。でも先生はね、ちょっとだけ苦手なんだ」 そう言って笑う。 嘘ではないけれど、本当の理由も少しだけ隠している。 ――怖い
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4月18日
わくわく(テニス)
春の光がやわらかく差し込む日曜日。 テニスコートのフェンスには、まだ少し冷たい風が触れているのに、コートの中だけは不思議とぬくもりがあった。 ボールを打つ音が、規則正しく響く。 パン、パン、と乾いた音が、空気を軽く弾いていく。 「ナイスショット!」 声を上げたのは、宮崎から来たという中村だった。 日に焼けた肌と、少し訛りの残る話し方が、 北海道の春の空気の中ではどこか異国のようにも感じられる。 「いやあ、今日は風が優しいですねえ」 そう言って笑う彼は、本来ならもう九州に戻っているはずだった。 退職を機に「いずれ帰る」と言いながら、もう三年も札幌にいる。 これほどまで北海道の気候に恋してしまうとは、、、、 「夏がいいんですよ、北海道は。 あっちは…もう、テニスどころじゃない暑さですから」 ラケットを肩に担ぎながら、そう言って空を見上げる。 その向こう側、静かにボールを拾っているのは佐藤だった。 背筋はまっすぐで、動きは無駄がない。けれど、どこか影がある。 「佐藤さん、もう一試合いけますか?」 声をかけると、少しだけ間を置いてから、柔らかくうなずいた
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4月18日
ワクワク(皐月賞2026,4月19)
春の気配がまだ少し冷たい風に混じる夜だった。 男はモニターの光だけに照らされながら、静かにコーヒーをすすっていた。 明日は、皐月賞。 「幸運はそうそう継続しては起きない」 Beignner's Luck 彼は小さく呟く。 その言葉は、誰に聞かせるでもなく、 何度も自分に言い聞かせてきた信念だった。 最初は、ただの興味だった。 休日、何気なく見た競馬中継。 疾走する馬たちの美しさに、 ほんの少し心を奪われただけのはずだった。 だが次の週、彼は気づけば動画を漁っていた。 過去レースの分析。 血統の解説。 馬場状態とラップタイムの関係。 動画サイトには、まるで迷宮のように情報が広がっていた。 「ここまでやる必要あるか?」 最初はそう思った。 だが、知れば知るほど、表面だけでは見えない“理由”が浮かび上がる。 勝った馬には、必ず理由がある。 負けた馬にも、必ず理由がある。 やがて彼の夜は変わった。 仕事から帰る。 食事を済ませる。 そして、パソコンを開く。 画面には、複数の動画。 一つはパドックの様子。 一つは調教映像。 一つは専門家の見解。 再生、停止
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4月18日
グリーンノート
彼女は、花束の香りが苦手だった。 それは、ただの好みではなかった。 むせ返るような甘さ、重たく漂う香りに、胸の奥がきゅっと締めつけられる。 まるで、言葉にできない感情が一気に押し寄せてくるようで、彼女はいつも少しだけ息を止めてしまうのだった。 「ごめんね、花、あんまり得意じゃなくて」 初めてそう言われたとき、彼は少し驚いた。 誕生日でも、記念日でも、花束を渡せば喜ぶものだと、どこかで思い込んでいたからだ。 それでも彼は、無理に笑って言った。 「そっか。じゃあ、今度は別のものにするよ」 彼女はほっとしたように微笑んだ。 その笑顔は、どんな花よりもきれいだと、彼は本気で思った。 ――でも、彼は知らなかった。 彼女が苦手なのは、花そのものではなく、“記憶”だったことを。 ある初夏の日。 風が少しだけ湿り気を帯び始めた頃、彼は彼女を郊外へ誘った。 「今日は、花じゃないよ」 そう言って、彼が連れて行ったのは、小さな林の中だった。 舗装もされていない道。足元には柔らかな土と、踏みしめるたびに香る青い匂い。 「この匂い、わかる?」 彼女は立ち止まって、静かに息
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4月17日
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